夏休みの宿題にも!都内でできる伝統工芸「江戸更紗」体験へ

日本には、日本人だからこそ受け継がれ続けている

とても繊細な伝統工芸が沢山あります。

その中でも「染色」で思い浮かぶもの・・・

「友禅染」「藍染」・・・中でも「江戸更紗」はご存知ですか?

染色技術の極みともいわれている「江戸更紗」の体験に

行ってきました!

 

「江戸更紗」ってなに?


染色技法の一つで、起源は今から3000年以上も前に

インドで発祥したと言われています。

後に、ペルシャを経てヨーロッパへ。

東は中国、南はタイやジャワへと伝わっていき

「海のシルクロード」を通って日本には室町時代にやってきました。

 

木綿に五彩(臙脂、藍、緑、黄、茶)を使い

花や人物などを色鮮やかに模様が特徴の更紗。

 

独特の異国情緒が漂う更紗を、日本の職人たちは

自らの手で美しい更紗を染め上げたい!と研究し

同じ材料が手に入らない中、顔料を上手に使い

作り上げたという歴史があります。

 

極彩色を使い、過剰な彩色を施して

日本独特の花鳥風月を表現していきました。

 

そして、日本各地に【天草更紗】【鍋島更紗】【京更紗】などと

広まっていくこととなるのです。

 

【江戸更紗】は、異国情緒を漂わせながらも

独特の深い渋みのある味わいが特徴。

 

これは、江戸の水に含まれている鉄分が

染め上がるまでに化学反応を起こして渋い色が生まれるから。

「侘」「寂」を感じる独特の渋い雰囲気はまた素敵なものです。

 

現在、日本各地の更紗は姿を消していき

今国内で生産をしているのは、東京の「江戸更紗」のみ。

 

伝統を守るということは大切でもありますが

後継者不足など、なかなか難しい時代になってきているのですね。

どのような工程でできるの?


今回伺ったのは、東京都新宿区上落合にある「二葉苑」

 

工房を見ながら受付へ。

もうこの刷毛の数々を見ただけでもワクワクしてしまうのは

私だけでしょうか。

 

受付を済ませ、工房に案内されました。

まずは、「江戸更紗」の歴史や工程について。

 

<行程>

①図案

着物の柄や紋様の下図を描く。(デザイン作成)

②型彫り

デザインした下図に合わせ、色、柄に分けて型紙を彫っていく。

③色合わせ

下絵に従って色を調合して色合わせをする。

(江戸更紗特有の色ツヤを出すために重要なポイント!)

④板拵え

型摺り板の両面に、もち米で作った糊を塗って白生地を張る。

④地染め

引っ張った生地の表全面に、しぶき汁(桃の皮の汁)を塗る。

⑤地張り

型摺り板に地染めされた生地を丁寧に貼り込んでいく。

⑥型摺り染め

板に貼った生地に型紙を置いて、専用の刷毛をつかって

叩くように染料を摺り込んでいく。

輪郭を摺る=「糸目摺り」、柄に彩色する=「目色摺り」

地色を摺る=「地型摺り」と言う。

この仕事は、専門の職人が染色刷毛を巧みに使い

イメージの色合いに仕上げていく。

普通は、一反の着物に型紙は30~40枚程必要とされている。

 

⑦蒸し

染め終えた生地を蒸し、染料を生地に定着させる。

⑧水洗い

蒸し終わった生地を水にさらして、余分な染料を洗い落とす。

⑨仕上げ

洗い終えた生地を乾燥させ、幅を整えて仕上げる。

 

いざ体験!


この日はテーブルセンターを作りました。

 

まず、無地の生地の上に、上の画像のような型紙を置き

画像内にある染色刷毛をつかって、一色ずつ丁寧に刷り込んでいきます。

 

型紙を15枚使い、次から次へとこの作業を繰り返していきます。

 

綺麗に染め上がりました!

 

画像取り忘れましたが、この後蒸し器に入れて

色を定着させます。

 

蒸している間は、初めにガラス越しにみた工房内を案内していただき

職人さんから色々と説明を受けました。

この瓶のなかには、染料が入っているそうです。

これだけの種類が大切に保管されています。

 

ゾウ好きの私。

思わず色合いの美しさに見とれてしまいました。

 

そしてそうこうしている間に完成です!

参加者みんなの作品を並べて鑑賞会。

こういった時間もとても楽しい時間ですね。

 

最後に


15枚の型紙を使い、15色の色を重ねていく作業、、、

心地好くもあり楽しい時間でした。

 

こちらの工房では染色作業をおこなっていますが

製品になるまでに、

 

布地をつくる職人

型紙をつくる職人

刷毛をつくる職人

仕立てる職人など

 

仕上げの染色部分は一番目立つ工程で

有名な作家さんだけが目立ちがちですが

他にも沢山の職人の方々が携わっている。

 

どれがかけても完成しないのに

どれも職人が数人しか居ない。

それも皆さん高齢であるという現実。

 

初めの説明の際、職人さんが話していましたが

 

「昔の技法をまもり、つくることも大切ですが

次世代に繋げるために知っていただくことも

私たちの仕事なんです」

 

の言葉がやけに響きました。

 

色や型は同じでも、ひとそれぞれの力加減

さじ加減で個性がある作品に仕上がる点は

パステルアートにも共通するものがありました。

 

今はなんでも機械でできそうな時代ですが

まだこの分野は、手作業に機械が

追いついていけてないそう。

 

細やかな手作業は、やはり日本人ならではですね。

子供の自由研究にも本当におすすめの

素晴らしい体験でした。

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